奈良 東大寺・四月堂「木造 十一面観音菩薩立像」【重要文化財】
像高
175.2㎝
造立年
不明
推定:平安時代末期
造立方法
一木割矧造
材質
ヒノキ
作者
不明
「十一面観音菩薩立像」の読み方
十一面観音菩薩立像は「じゅういちめんかんのんぼさつりゅうぞう」と読みます。
十一面観音菩薩立像の歴史・由緒など
この十一面観音菩薩立像は、かつては現在の奈良市狭川町に位置する「桃尾山寺(現在は廃寺)」の本尊として祀られていた仏像でしたが、1869年(明治2年)に東大寺二月堂に移されて祀られたという由緒を持っています。
しかし、二月堂では例年、2月に「修二会」が執り行われることから、万が一の損壊が懸念され、収蔵庫へ移したようです。
その後、2013年(平成25年)5月21日〜9月下旬に、この四月堂の先代の御本尊「千手観音菩薩立像」が美術院にて修理に出されることになりますが、修理後は四月堂ではなく、南大門付近の東大寺ミュージアムの方へ安置されたことから、代打という形で本像「十一面観世音立像」が、新たに四月堂の御本尊として祀られる運びとなっています。
また、上記、期間中、並行する形で四月堂内の白壁の全面塗り直しが実施されており、この間、堂舎は一般参拝が休止となりましたが、晴れて10月より開堂されており、新たな御本尊である本像が一般公開されています。
なお、四月堂の御本尊が変わったことにより、御朱印も従来の「千手観音菩薩」から→「十一面観音菩薩」へ変更されています。
御朱印に関しては下記ページをご参照ください。
四月堂の十一面観音菩薩立像の特徴
平安時代の仏像は、作者の意図により変化に富み、個性豊か。本尊もその特色がよく出ています。特に「なで肩」や目が細く穏やかな顔つきは平安時代に造立された仏像の特徴が顕著です。
基本的な造立方法としては、ヒノキを一材から切り出し、頭から体躯(身体)にかけて前後に真っ二つに割る形で、割矧ぎ(わりはぎ)にして内刳りを施しています。右手は肩と手首、左手は肩、ひじ、手首で矧ぎつけています。
体躯表面に施された漆箔、附属の台座および光背は後の時代で付けられたものとされています。
十一面観音菩薩の特徴
十一面観音菩薩の頭上の冠には10面から11面の顔がありますが、向かって右半分の顔が忿怒(怒った)顔がならび、左半分には笑顔の顔がならんでいます。これらは化仏(けぶつ)と呼ばれる分身であり、正面にはおおむね阿弥陀如来(あみだにょらい)が据えられています。
正面に阿弥陀如来が据えられている理由は、浄土信仰における阿弥陀如来の教理である「救済する者によって姿を変える」が、この十一面観音菩薩にも通じたものとされているからです。
なお、現存する多くの十一面観音菩薩像は、自分(ご本人)の顔を合わせて11面ですが、他に12面とする例もあります。これらの様々な表情で「十種勝利」「四種功德」といった十一面観音菩薩が持つご利益を表現しているとされています。
四月堂の場所(地図)
四月堂は三月堂(法華堂)の前に位置する堂舎です。拝観料金は無料です。
四月堂についての詳細は以下の別ページをご覧ください。
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