鹿せんべいの作り方や「作る理由」「作る目的」とは?

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奈良公園に訪れたら必ず目にするのが、「鹿せんべい」の看板です。

おそらく奈良公園に訪れる観光客のほとんどが、人馴れした自然の鹿と接する場所として認知し、鹿せんべいのエサやり体験も観光スケジュールに入っているのではないでしょうか。

しかし、いざ鹿せんべいを買ってみると、こんな素朴な疑問が出てくるのも事実です。

「鹿せんべいはなぜ作るの?」「作る目的はなに?」「どこでどうやって作られているだろう?」

以下ではこの疑問に答えていきたいと思います。

奈良公園で鹿の餌やり体験!!「鹿せんべいの値段と売店の場所・営業時間」

まず…奈良公園名物の「鹿せんべい」って何?

奈良公園のことを調べていると「鹿せんべい」というお菓子の名前が出てきます。

聞くのが初めての方であれば、「おいしいの?」とか考えてしまいますね。

しかし、これは基本的には「鹿専用の食べ物」です。

人が食べても良いのですが味という味がしません。しいて言うなれば「香ばしいタンサンせんべい」のような味です。 その上、パサパサとしているのでノドが渇きます。

この「鹿せんべい」は、「米ぬか」と「小麦粉」で作られた「せんべい」で、着色料などを使わない「体に優しいおやつ」です。

鹿せんべいは「奈良の鹿愛護会」が許可した、数社のみが製造することができ、売り上げの一部は、鹿の保護活動費に積み立てられます。

1670年代にはもう売られていたと言いますから、かなり歴史ある”おやつ”ですね。

鹿煎餅(鹿せんべい)の作り方

鹿せんべいは現在、奈良市内の「鹿せんべい組合」に参加して焼いている会社はわずか5社のみ。

鹿せんべいを焼き始める時間は朝8時頃〜昼13時頃までで、1日に約1000枚も焼くそうです。

主材料となるのは「古くない米ぬか」と「小麦粉」で、これらを定められた割合で水に溶いて機械で攪拌(かくはん/混ぜ合わせる)します。

湿気の多い雨季や真夏などは水の量を調整して混ぜ合わせます。

 すると粘り気のあるトロ~っとした形状の物体ができます。この状態を例えるのであれば「お好み焼き」をに似ています。

 あらかじめ火を通し、熱々になったクソでかい鉄板に油をひきます。

 その後、↑のトロリとした物体を熱々の鉄板に流し込みます。

 5分ほど経って上の鉄板を上げるとコンガ~リと焼きあがり、香ばしい匂いのする「鹿せんべい」が現れます。

 あとは、奈良県鹿愛護会が発行する「証紙」をせんべいに巻いていきます。

 巻き巻きする際、鹿せんべいを10枚つまんで一括りにします。

 また、証紙を巻きながら、目視で焼きあがった鹿せんべいを職人さんが1枚1枚検品します。このように1枚1枚チェックすることで不良品(割れなど)がないかをチェックされています。

たかが「鹿せんべい」に検品が必要なのかと言ってしまえばそれで終わりですが、そこは放置せず最後まで仕事をキッチリこなすといった職人さんにも強いコダワリが感じられます。

検品が終わると完成です。あとは奈良公園行商組合(売店)へ輸送されます。

ちなみに現在の機械は全自動で5分間で150枚焼くことができるとのことですが、鹿せんべい大会用の競技用特大サイズの鹿せんべいは、すべて手焼きで3ヶ月くらいを要して焼き上げるようです。




鹿せんべいを作る目的や理由

目的と理由【その1】『鹿を保護するため』

鹿せんべいを作る目的は、鹿を保護するためです。

動物であればほとんどがそうですが、鹿たちも人間の食べ物は大好物です。

スナック菓子やパンなど味付けがされた物も大好きです。

私たち人間も同様に間近で人慣れした可愛らしい鹿と触れ合っていますので、ついついと人間の食べ物をあげてしまいたくなります。

おそらく1人が鹿に食べ物を与えると、それを見た人が1人2日と次々と鹿に人間の食べ物を与えてしまうことでしょう。

しかし鹿たちにとっては化学調味料などの添加物は害でしかありません。

つまり、鹿たちに人間たちの食べ物を与えないようにする目的で鹿せんべいが製造されています。

目的と理由【その2】『ゴミを出させないため』

では仮に鹿たちに人間のスナック菓子やパンを与えるとしましょう。

全部あげた後にはスナック菓子やパンが入っていたビニール袋が手元に残るハズです。

そのビニール袋をどうしますか?

自らのカバンに入れて持って帰りますか?

それとも近くのゴミ箱を探しますか?

それともそのままポイっ!とそこらへ捨てますか?

実は鹿せんべいが製造されているもう1つの理由として、ゴミを出させないためにも製造されています。

知らない方がほとんどだと思われますが、近年、鹿に人間の食べ物を与える方が増加してきています。

これはルールを知らない外国人観光客が増加したこともその理由に挙げられます。

人間の食べ物を与えるだけならまだしも、さらにゴミまでをそこらに放置する人も増加しています。

何がもっとも危険なのかといいますと、そのビニールから美味しいものが出てきたことを知っている鹿は、なんと!そのビニール袋を口に入れて食べてしまうのです。

ビニール袋が体内に入ればどうなりますか?

人間であれば一大事です。

おそらく場合によっては息ができなくり、呼吸困難で命を落とすことも考えられます。

これは鹿にも同じことがいえます。

現に、ビニールを食べて命を落とす鹿もかなりの割合でいます。

【補足】鹿たちにとって鹿せんべいはあくまで”おやつ”

ここで疑問が出てくるのは、奈良公園に鹿たちは「鹿せんべい」しか食べていないのか?ということです。

平日であれば週末とは異なり観光客が減少します。減少すれば食べれる鹿せんべいの量も平日と週末で異なってきます。これでは生きていくのが困難です。

しかし、ご安心を。実は奈良公園の鹿たちには主食としているものがあります。

なんだかお分かりになりますか?

実は奈良公園の鹿たちは「芝(芝生)」を主食として1頭につき1日に4キログラム〜5キログラムは腹(胃袋)に収めるようです。(ただし、大好物はドングリ)

一方で鹿せんべいは1枚あたり3.5グラム程度なので、100枚食べても350グラム、1000枚食べてやっとこさ1日の腹収め量を確保できるかというところです。

しかしいくらなんでも1頭が1日に1000枚も食べられる機会に恵まれるワケがありませんので、鹿たちにとってはあくまで”おやつ程度”という位置になります。

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