【国宝】東大寺「開山堂」の歴史(由来)・建築様式(特徴)・大きさ・作った人・見どころを‥‥‥知りたぃ?

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奈良 東大寺「開山堂」【国宝】

画像引用先:開山堂「良弁忌」パンフレットより

創建年

  • 不明
  • 1019年(寛仁3年/平安時代)
再建年

  • 1250年(建長2年)※鎌倉時代
建築様式(造り)

  • 宝形造り
屋根の造り

  • 本瓦葺き
発願者

  • 不明

東大寺・開山堂の読み方

東大寺の境内には、難しい漢字の表記のお堂や仏像が安置されていますが、「開山堂」は「かいざんどう」と読みます。

また、東大寺要録によれば良弁僧正の「僧正堂」もしくは「御影堂」とも呼ばれています。

東大寺・開山堂の名前の由来

この開山堂は、東大寺を開山したとされる「良弁僧正」を祀っていることから”開山堂”の名前が付されています。

良弁僧正の人物像についての詳細は以下の別ページにてご紹介しています。

東大寺・開山堂の建築様式と特徴

開山堂は「宝形造り」と呼ばれる二等辺三角形の屋根が4つ組み合わせされて、その中央部分に宝珠が据えられた造りになります。

屋根瓦は瓦葺きで葺かれています。

内部は外陣と内陣が一体型となった堂舎であり、内陣は一段下がり、その中央部に厨子(ずし)がスッポリと収まる空間が設けられています。

その空間には東大寺の開山である「良弁僧正像」が安置されています。

内陣が一段下がっている理由は後述していますが、かつてこの開山堂が現在の内陣のみの大きさであったためです。すなわち後世にて外陣部分が拡張工事にて追加されたことになります。

この開山堂の特徴的な部分をあげれば、内陣には三手先の出組に肘木は挿肘木(さしひじき)、中備えに「双斗」が持ちられており、これこそまさしく重源上人が考案した大仏様(だいぶつよう)が用いられています。

一方で外陣は禅宗様を用いて内陣を囲むようにして、扉には框付きの桟唐戸(さんからど)が設置され、出入口左右には縦長の連子窓が据えられています。

中備えは内陣とは打って変わり、簡素な舟肘木で組み上げられ、屋根上の宝珠と合わせて徳の高い個人を祀るための霊廟であることを訴えかけています。

以上、この開山堂は東大寺境内では、極めて数少ない大仏様と禅宗様が入り混じった「折衷様(せっちゅうよう)」が見れる堂舎となります。なお、東大寺では他に栄西上人が発願したとされる鐘楼(しゅろう)においても折衷様を見ることができます。

東大寺・開山堂の歴史

この開山堂は、龍松院の西側、元僧坊の敷地内に1019年(寛仁3年)に創建されており、かつて僧正堂と呼ばれた内部では「良弁僧正坐像」が御本尊として祀られていました。

以後、1200年(正治2年)に重源上人によって大仏様を用いた四方一間の大きさの堂舎に改築されていますが、1250年(建長2年)に現在の場所に移築されています。

移築された際、さらに堂舎の拡張工事が執り行われ、これが三間四方の現在見ることができる堂舎となります。

移築された理由としては、1249年(宝治3年)に20人の学僧を迎え入れ、三論談義が開始されたこともあり、鎌倉時代に良弁僧正の評判が再熱したとも考えることができます。

なお、重源上人が改築した頃の堂舎は、現在も上述したように良弁僧正像が安置される形で残されており、内部に入れば一面床張りではなく、四隅に礎石が残されています。これはつまり、内部の内陣に覆いかぶさる形で外陣部分が組まれている格好となります。

この様相を例えるならば、覆屋(おおいや)や素屋根(すやね)が内陣の周囲全体に覆いかぶさるようにして組まれていることになります。




東大寺・開山堂の見どころ

奈良 東大寺(開山堂)・良弁僧正坐像【国宝】

開山堂内、内陣の中央には八角造の厨子(豪華な箱)が置かれており、この厨子の中には良弁僧正像(国宝)が安置されています。

良弁僧正坐像【国宝】については以下の別ページにてご紹介しています。

 奈良 東大寺(開山堂)・良弁僧正坐像【国宝】

良弁忌(開山忌)

良弁忌とは、開山である良弁僧正を偲んで執り行われる法要のことであり、毎年12月16日に営まれています。

実は通常、この開山堂には一般参拝者が立ち入ることは叶いませんが、毎年12月16日のみは堂舎の扉が開扉され、内部では法要が営まれます。

その際、内部を拝観することが可能となり、その際、上記の良弁僧正像(国宝)を拝観することができます。拝観料は500円です。

良弁忌の詳細、もしくは東大寺の1年を通しての特別開扉(特別拝観)についての詳細は以下の別ページにてご紹介しています。

開山堂の前の小屋

開山堂の前には蓮池が備わった風情や趣が感じられる離れ(建物)がありますが、この建物は僧侶たちが一堂に会して、集会を行う場所となります。

建物の前方には蓮池が広がり、東大寺の四季の彩りにそっと華を添えています。

糊こぼし(良弁椿)

この開山堂の出入口付近には「糊こぼし」と呼ばれる椿が植えられています。

「糊こぼし」と呼ばれる理由は、なんでもこの椿の花弁には不思議なことに「白い斑点」が入るようで、その姿はまるで「練行衆(れんぎょうしゅう/修二会に参加する僧侶のこと)が仏前に供える造花を作ったときに花弁に糊をこぼしたようだ」と言うことから「糊こぼし」と呼ばれています。

他にもこの椿は、東大寺を開山した良弁僧正にちなみ「良弁椿」とも呼ばれ古来、親しまれています。

ちなみに奈良にはこの椿にちなんだ銘菓があるのをご存知でしょうか?

今や「奈良三銘」の1つにも数えられている一般的に「糊こぼし」や「お水取りの椿菓子」と呼ばれるものです。奈良市内はもとより、奈良県内の菓子店がこぞってこの時期になると期間限定で販売します。お菓子の味やデザインはその店独自のもので、この時期に奈良に訪れると色とりどりの銘菓を目にすることができます。ウフ

  • 樹高:約4m
  • 根本範囲:68.2㎝
  • 花弁径:約7㎝
  • 花弁高:約6㎝
  • 開花時期:3月中旬
  • 見頃時期:3月下旬

奈良 東大寺「開山堂」の場所(地図)

⬆三月堂(法華堂)の坂の上から撮影した開山堂

東大寺・開山堂は三月堂(法華堂)の手前に位置します。大仏殿から徒歩約5分ほどです。

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