東大寺勧進所「五劫思惟阿弥陀如来坐像」【重要文化財】

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東大寺勧進所「五劫思惟阿弥陀如来坐像」【重要文化財】

造立年

不明
推定:鎌倉時代中期

像高

106.6cm

材質

ヒノキ

造り

木造、漆箔

作者

不明

安置場所

東大寺・勧進所「阿弥陀堂」

「五劫思惟阿弥陀如来坐像」の読み方

東大寺の境内には難しい漢字の表記で読みにくい名前の仏像や堂舎が存在しますが、「五劫思惟阿弥陀如来坐像」は「ごこうしゆいあみだにょらいざぞう」もしくは「ごこう”しい”あみだにょらいざぞう」と読みます。

五劫思惟阿弥陀如来とは?

五劫思惟阿弥陀如来坐像とは、「五劫思惟」と「阿弥陀如来」に分けることができます。

阿弥陀如来とは、一般にも広く認知されている仏様で元はインドの王子様です。

後に王様となった時、世自在王仏(せじざいおうぶつ)が目の前に現れ、仏教の教えを説かれます。

説教後、身分を捨てて「法蔵(ほうぞう)」と名乗り、仏門に帰依して悟りの境地への道を歩みだします。

悟りの最中、再び世自在王仏に会い、仏法の指導を懇願します。

その願いを聞き入れた世自在王仏は、現世とかけ離れた何百億の仏の世界を法蔵に見せました。

しかし法蔵は自ら求めていた疑問とはまた違った疑問が次々と湧き起こり、ついに「五劫の思惟(=深く熟考してしまうこと)」に入っていまいます。

「五劫」とは、宇宙的な年月のことで一説によると「1劫」で約4億3200万年あると云われています。
これの×5ですので「21億6000万年」。

・・途方もない年月です。オホ

五劫思惟阿弥陀如来坐像の造り・特徴

東大寺の五劫思惟阿弥陀如来坐像は少し他の阿弥陀如来坐像と異なった特徴を持っています。

まず、着用している大衣(だいえ)は肩から胸元を隠すように手前で合掌した姿勢で造立されています。

おっぱいを見られるのが恥ずかしいのでしょうか?

通常は胸をはだけて両膝の上で阿弥陀定印や来迎印を組んだ姿で造像されていること多くみられます。

またよく見る五劫思惟阿弥陀如来坐像のお顔はフっくらとしていますが、東大寺の五劫思惟阿弥陀如来坐像はヤセこけています。顎のお肉がふくよかです。

鼻も男前にシュッ…….っと、整っています。いよぉっ!男前っ!ヒュ~

造像に使用されているのはヒノキ材ということで、これは平安期以降に日本国内で造像された証拠の1つになります。

胴体は一木造りで他は寄木造りで造像されているとのことですが、寄木造りは鎌倉期から取り入れられた造像方法で鎌倉期以降の造像方法の大きな特徴ともいえます。

より効率性(時間短縮)と巨像化、そして生産コストを下げることが求められた時代の新たな造像方法と言えます。

そのことを証明するかのように鎌倉期以前の造立を示す証拠となる特徴として、本像は彫眼になっています。彫眼(ちょうがん)とは眼を彫刻によって造形して行く手法であり、主に平安時代後期〜鎌倉時代初期以降は水晶を用いて造形された玉眼が取り入れられはじめています。




五劫思惟阿弥陀如来のド頭が「アフロヘア」である理由

五劫思惟阿弥陀如来のド頭が「アフロヘア」であるのは、美容室に行って流行りのイケイケの髪型にカットしてもらう暇すらないほど「五劫」の思惟状態にあることを意味しています。

ひょっとしたら、定番どころでポマードがんがん付けの「七三分け」や「オールバック」、萌え系で「ポニーテール」を狙っていたかも知れませしぇん。しぇんしぇん

要約すると、もとはハゲだったド頭が、未だ尚、「五劫」の熟考中であり、散髪する時間がないので髪の毛がボーボーの状態になっていることを表現しています。

この後、法蔵は四十八願 (しじゅうはちがん)を立て、「五劫」を経ての”答え(1つの悟りの境地に行き着く)”を得るための誓いを立てます。

この時点で法蔵は仏様へと生まれ変わり、果て無き修行を覚悟した「五劫思惟阿弥陀如来」となっています。

五劫思惟阿弥陀如来坐像の歴史・由来

東大寺・五劫思惟阿弥陀如来坐像はかつては二月堂の北側に存在した阿弥陀堂の御本尊として安置されていました。

造立年は不詳とされていますが、一説では重源上人が中国・宋から日本へ渡航した際、一緒に持ってきた品の1つと考えられています。

しかし、上述したようにヒノキ材が使用されていることから、後に日本で造像された可能性が示唆されています。

ちなみにこの時代、ヒノキ材などの木材を用いての造像方法は日本で多用された造像方法です。(中国は乾漆や石製が多い)

なお、現存する五劫思惟像は極めて少なく、本像のほか、境内勧進所に数十センチの小像が2躯、付近の末寺「五劫院」と奈良市ならまちの十輪院など日本国内でも8躯ほどしかありません。

五劫思惟阿弥陀如来坐像の特別一般公開(御開帳)の日程・拝観料金

五劫思惟阿弥陀如来坐像は年に1回だけ毎年10月5日に一般に特別公開されています。

拝観料金は別途500円必要になります。

その他の詳細に関しては当サイトの以下↓の別ページにてご紹介しております。

 奈良・東大寺の「仏像(秘仏)」特別一般公開(御開帳)の日程と時間・拝観料金・一覧【補足】奈良・五劫院の「五刧思惟阿弥陀如来」

東大寺にはもう1つ秘仏として有名な「五刧思惟阿弥陀如来」があります。

場所は正倉院の北側に位置する「五劫院(ごこういん/奈良市北御門町24)」と呼称される寺院で、鎌倉時代に重源上人が創建した寺院です。

五劫院の場所(地図)

しかし残念ながら五劫院の「五刧思惟阿弥陀如来」は、常時、一般公開はされていませんが、予約をすることで拝観ができます。

一説では、こちらの「五刧思惟阿弥陀如来」こそが重源上人が中国・宋から持ち込んだ仏像だとも云われており、もし、勧進所の坐像が日本で造立されたものであるとするならば、五劫院の坐像よりも後の時代に造立されたものだと考えられています。

ご興味のある方は是非!予約して参拝してみてください。

五劫院の特別拝観(特別一般公開)について

上述したように五劫院の「五刧思惟阿弥陀如来像」は、事前に電話予約することで常時拝観ができますが、五劫院では以下のような日程で特別一般公開する日も定めています。

例年:2月12日~2月18日
例年:8月1日~8月12日
例年:10月5日

拝観可能時間:9時から15時まで
拝観料金:志納金

奈良・五劫院の御朱印

奈良・五劫院では御朱印もいただくことができます。

中央にご本尊である「五刧思惟阿弥陀如来」と墨書きされた御朱印になります。

五劫院のお問合せ先

住所:奈良市北御門町24
電話番号:0742-22-7694(予約受付)
営業時間:9:00~15:00 ※要予約
定休日:1月1日~15日・8月13日~31日
拝観料金:志納(しのう/心ばかりの気持ち。勇気があるなら1円でも可能。)

アクセス

JR・近鉄奈良駅からバス「州見台八丁目・青山住宅行き」へ乗車。「今在家バス停」下車して徒歩で3分。
総計所要時間:約7分

駐車場

駐車収容台数:10台
駐車料金:無料

東大寺・勧進所「五刧思惟阿弥陀如来」の場所とアクセス(行き方)

東大寺・勧進所は東大寺大仏殿から徒歩で所要時間約3分ほど奈良駅の方角進んだ先に位置します。

阿弥陀堂は勧進所の境内に位置します。

東大寺・勧進所の境内地図(マップ)

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