実は、奈良・東大寺の境内には知る人ぞ知る「ホタル(大仏蛍)」が見れる観光スポットとして有名です。
地元奈良県人や知っている人は例年、たくさんの方々が大仏蛍の見学に訪れます。
東大寺のホタルは「大仏蛍」と言う名前で親しまれていますが、特殊なホタルではなく「源氏蛍(ゲンジホタル)」と言う種類のホタルです。
画像引用先:https://ja.wikipedia.org
「大仏蛍」と呼ばれる理由
東大寺の源氏蛍が「大仏蛍」と呼ばれる理由は、大仏殿が近くで飛び交うことや、大仏で有名な東大寺ということで「大仏蛍」と呼ばれているわけではありません。
なんと!「大仏蛍」と呼ばれる理由は、東大寺で見られるゲンジボタルはサイズが大きいことから「大仏蛍」と呼ばれています。
奈良・東大寺でホタル(大仏蛍)を見れる場所(地図)
東大寺の境内では「大仏殿の後方の道」から二月堂へ向かう道、通称「二月堂へ続くの裏参道」の「草ムラ」や「小川」で観ることができます。特に「大湯屋」の前の田んぼや池ではよく観れます。
ただし、大仏蛍(ゲンジボタル)が育つためには「草」が必要になります。
東大寺や春日大社の周辺付近では「鹿」が多数生息しており、鹿がそこらじゅうの草をムシャムシャと食べてしまいます。
つまり、草がない場所には、たとえ小川があっても、必然的に大仏蛍もいないことになります。
昭和30年を境に大仏蛍の数が減少!
昭和30年頃までは二月堂の裏道から大仏殿後方の講堂跡の周辺付近で夏になれば大仏蛍が見られたようですが、現在は二月堂の裏道の周辺のみでしか見られなくなっています。
これには理由があり、戦後、農業技術の革新から耕作地が増加し、さらに農薬が使用され始めたため、どんどん蛍たちの住処がなくなっていきました。
ところが平成元年頃を境に今度は休耕地が増加したため、再び大仏蛍の姿が見られるようになっています。
【2025年】関西圏でのゲンジホタルの一番見頃な時期と時間
ゲンジボタル(大仏蛍)の見頃時期
奈良県を含んだ関西圏でのゲンジホタルの一番の見頃は、上記でご案内した通り「5月下旬から6月中旬頃」です。
これはゲンジホタルが「幼虫⇒サナギ⇒成虫」という過程において、自然の摂理で1番発生する時期が初夏の時期となっているからです。
つまりは、同じ甲虫である「カブトムシ」と似たような種であると言う見方もできます。
ゲンジボタル(大仏蛍)の見頃時間帯
ゲンジホタルの発生する時間帯は、夜19時くらいからポツポツと現れだします。
ただし、夏が近づくにつれ、当然、太陽が沈む時間帯が長くなりますので、時間の概念を除くと、太陽が半分以上沈んで薄暗くならないとホタルは飛びません。
奈良・東大寺のホタル(大仏蛍)はいつまで見られるの?
ゲンジホタルを含めた、水生ホタルの成虫の寿命は平均的に1週間から2週間、最長でも1ヶ月ほどです。
つまり、ホタルが盛んに見られる時期は「わずか1週間から2週間」と言うことになります。
この間にオスはメスに命がけの求愛行動をして次の世代に思いを託すワケですね。
何だかロマンチックすぎて、身体が火照ってきちゃったワ♥ウフん
ところで・・発光しているのはオス?メス?全部?
ゲンジホタルを含めたほとんどのホタルは、オスがより強く発光します。
メスも発光しますがメスは草に止まったままで、わずな光をおケツに灯しオスを誘います。
オスがメスを見分ける方法は、おケツの光の点滅の仕方で見極めています。
ある実験では、メスと同じような点滅する装置をゲンジホタルのオスが舞う草ムラへ設置したところ、オスが点滅装置の周辺に、たくさんオスが集まってきたと言う検証報告も出ています。
そして、これもあまり知られていませんが、発光するのは成虫だけに見られる現象ではなく、実は「幼虫期」や「蛹(サナギ)の時期」にも、わずかですが発光しているようです。
なぜ、ゲンジホタル(大仏蛍)は発光するの??
ホタルの発光の原理は現代に至っても謎とされていますが、ゲンジホタルに至っては「求愛行動の一種である」と言う見方が強いと言われています。
その他にも、「天敵から襲われないようにするために発光している」などとも言われています。
現在、日本に生息するホタルのそのほとんどの種類は「ゲンジホタル」とされており、ゲンジホタルは「ホタルの代名詞」となっています。
日本のホタルが全滅しかけた時期があった?!
実は、過去に日本でホタルが全滅の危機にさらされた時期がありました。
現在では、日本中の至る場所でホタルを見かけることができますが、これはホタルの数を増やすために努力をした人たちがいたからに他なりません。
ゲンジホタルを多く養殖する理由は、主に以下のような理由があるからと言われています。
- キレイなので、現在では集客目的で繁殖されていることが多い
- ホタルを自生させることは、自然環境保護にもつながる
- 日本に現存する40種類ほどのホタルの中でも特に発光が強くキレイ
- シンクロして発光する性質をもっているのでキレイに見える
- 生態系を大きく乱さず繁殖がし易い
ちなみに、上記の「シンクロして発光する」とは、近くの相手と同じ発光のリズムをしないと言うことになります。
つまり、クリスマスツリーのイルミネーションのように、順番に発光しながら漆黒の闇夜を仄かにに照らしているといったことになります。
まさに、大自然が創り出した「夏の一大イルミネーション」と言えますね。..エッヘン
ゲンジホタルが多い地域
上述の通り、ゲンジホタルは日本に一番種類の多いホタルであり、実は昭和40年代を境に急激に増えています。
ゲンジホタルが急激に増えた理由とは「観光地の集客目的」で養殖したホタルを日本各地の観光地へ移したからです。
移された後は、当地の環境保護団体によって保護されてきたホタルたちが次第に増えていき、現在に至っていると言うことになります。
ちなみに現在、日本でもっともゲンジホタルが多く見られる場所は長野県です。
「東大寺・大仏蛍を守る会」
多くのホタルが観光目的に移入されてきましたが、ホタルが完全に根付いて自生するのは難しく、まずはホタルの幼虫のエサとなる「カワニナ」といった「貝」が棲みつくような環境にしなくてはなりません。
それは、ここ東大寺も例外ではなく、東大寺境内の小川や草ムラにゲンジホタルが棲みやすいようにしなくてはなりません。
そこで東大寺を中心として、東大寺の近郊に住む住民の方々が結束し平成4年に「大仏蛍を守る会」を発足させています。
「東大寺・大仏蛍を守る会」では、以下↓のような取り組みを行っています。
- 継続的にゲンジホタルの幼虫を放流
- ゲンジホタルのエサであるカワニナを放流
- 環境保護運動
以上、これらの努力が身を結んで現在に至っています。
ただし、昭和30年以前のように蛍が空一面を覆うほどに飛び交う光景と比較すると、まだまだ生息数が足りず、比べ物になりません。
そこで平成11年に大仏蛍を昭和30年以前のように空一面を覆うほど繁殖させようということで、大仏蛍を人工繁殖させる施設が新造されています。同時にこの施設では同時に大仏蛍のエサとなる「カワニナ」の繁殖も行われています。
このように私たちが毎年夏に東大寺の境内で大仏蛍が見ることができるのは、ひとえに「大仏蛍を守る会」の方々の努力の賜物であると言うことを忘れてはいけません。
大仏蛍を見学する際のマナー
知らない方も多いと思われますが、ホタルは別の光が現れると発光のリズムが阻害され、発光を止めてしまうことがあります。
つまり、暗い夜道を進むために懐中電灯を点けたままでホタルを見ていると、ホタルたちの求愛行動をさえぎると言ったことになります。
以上のことから、ホタルたちの恋愛模様♥を観る時は懐中電灯のライトを消すなどの細心の注意が必要となります。
また、常識的な最低限のマナーとして以下のような事項に注意します。
- 大仏蛍を見学中はできるだけ飲食は避ける(ホタルを捕食する外敵を呼び寄せます)
- ゴミは持ち帰ります。(見学のお礼として、逆にゴミが落ちていたら持ち帰る)
- 大仏蛍がキレイだからと言って捕らない
- 生態系を乱すようなことはしない
- 静かに見学する
【補足】ゲンジホタルの生態について
水生ホタルには、幼虫時期を水の中で過ごすホタルが3種類おり、よくゲンジボタルと相対的に見られることの多い「ヘイケボタル」もそのうちの1種です。
ゲンジホタルはカブトムシと同じ甲虫ですが、一生涯のほとんどを水中で過ごします。
そして、ホタルは基本的に、成虫になると捕食行動は行いません。
つまりは、幼虫の時に体内に蓄えた栄養だけで成虫期間の1週間から2週間を過ごします。
子孫を残すために夜空へ舞い飛び、人生の最後を知りながら、自らが生きた理由を表現するかのように精一杯、舞い飛ぶ姿は、何よりも誰よりも美しく、より光輝くことができるんですね。フフっ
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