東大寺・「伝・日光菩薩立像」・「伝・月光菩薩立像」【国宝】
造立年
- 推定710年から794年(奈良時代)
高さ
- 伝日光菩薩 204.8cm
- 伝月光菩薩 207.2cm
素材・造り
- 塑像
作者
- 不明
- 推定:国中公麻呂(くになかのきみまろ)
安置場所
- 東大寺ミュージアム
「日光菩薩・月光菩薩」の読み方
仏像は、おおよそ漢字の羅列で名前が命名されており、読むのに一苦労といったことも珍しくありません。
「日光菩薩・月光菩薩」の読み方は、以下↓のように読みます。
- 日光菩薩は、「にっこうぼさつ」
- 月光菩薩は、「がっこうぼさつ」
「日光菩薩・月光菩薩」とは?
日光菩薩は、太陽のように強い光を発して、苦しみの闇を取り除き、月光菩薩は、月の明かりのような優しい心で煩悩を消してしまうと言った霊験があるとされています。
通常は薬師如来の左右に立って、薬師如来を助ける役割を果たし、その理由としては薬師如来に育てられた菩薩と云われているからです。
そして、単独で1尊ずつ、お祀りされません。
日光菩薩と月光菩薩の違い
この2尊は姿形が似ているので、見分けが付きにくいのですが、主に以下↓のような違いが挙げられます。
- 薬師如来を向かって見て右側に鎮座するのが「日光菩薩」
- 薬師如来の左側に鎮座するのが「月光菩薩」
- 手の形が左右非対称
- 冠には、それぞれ「日輪」と「月輪」の印がある。
日光菩薩と月光菩薩の真言とご利益について
真言とは、「仏様が発する言葉」とされ、「真実の言葉」と言った意味合いになります。
これらは「ドラクエの呪文」に例えることができ、ドラクエの呪文の意味合いで表現することができます。
・日光菩薩が真言を唱えると「病となっている元凶が太陽の光で消滅する」⇒「キアリー」
・月光菩薩が真言を唱えると「苦しい暑さを消除してくれる」⇒「ヒャド」
日光菩薩と月光菩薩が存在する世界
日光菩薩と月光菩薩が存在する世界は「東方浄瑠璃世界」という「薬師如来の浄土世界」に存在されています。
よって通常であれば薬師如来像の脇侍としてその左右に置かれるはずなのですが、東大寺の日光菩薩・月光菩薩は不空羂索観音立像の脇侍として安置されています。
この謎については後述しています。
薬師如来にまつわる伝記では、薬師如来像は2人の子供がいて、その子供の名前が「月光」「日光」と呼ばれていたと云われ、つまりは月光菩薩、日光菩薩のことを指します。
日光菩薩と月光菩薩の特徴・見どころ
元々、日光菩薩と月光菩薩は東大寺法華堂に安置されていましたが、2011年の東大寺ミュージアムのオープン際して、東大寺ミュージアムの方へ移動しています。
朱色や緑、青で彩られていたものですが、今はほとんど残っておらず、白く見えているのは仕上げに使った土の部分です。
ちなみに、こちらの日光菩薩・月光菩薩立像は、元々日光・月光菩薩像として造られたものではなく、梵天・帝釈天像だったのではないかとも考えられています。
根拠としては、以下↓のようなことが列挙されます。
・この2体の間に立つのが薬師如来像ではなく観音像(不空羂索観音)であること
・文献に「日光・月光」と初めて記載されるのは江戸時代になってからだということ
・月光菩薩像の襟元に、鎧(よろい)の一部のようなものがあること
・靴を履いていること
日光菩薩・月光菩薩に「伝」が付いている理由
梵天・帝釈天像はそっくりな容姿に造られることが多く、帝釈天は鎧(よろい)をつけていることがあります。
また、「天」は靴を履きますが、「菩薩」は普通、靴を履いていません。
このように、実は「梵天・帝釈天像だったのではないか?」・・などの理由から、この2体の像の名称には「伝」がついているのです。
日光・月光菩薩である根拠
ちなみに「日光菩薩・月光菩薩」の名前は、1705年に編纂された「東大寺諸伽藍略録」に初めて名前が登場することから、それ以前の名前は不明ということであり、このような理由から「梵天・帝釈天像」として造立された可能性が高いことが示唆されています。
この他、同じ境内の戒壇院(かいだんいん)に安置される「四天王像」の表現の仕方などの特徴が類似することから、一説では四天王像と「同じ工房」で「同じ仏師」が制作したとも考えられています。
「東大寺ミュージアム」の場所とアクセス(行き方)
日光菩薩・月光菩薩立像が安置されている場所は東大寺ミュージアムという施設になります。
東大寺ミュージアムに関しては当サイトの以下の別ページにてご紹介しております。
奈良県・東大寺ミュージアムの「入館料金(割引情報)、定休日(休館日)、営業時間と見学所要時間・交通アクセス方法」など
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