奈良 東大寺・「乾漆 不空羂索観音立像(法華堂・三月堂)」【国宝】

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奈良 東大寺・「乾漆 不空羂索観音立像(法華堂・三月堂)」【国宝】

造立年

  • 推定:747年(天平19年)頃
像高

  • 362cm
宝冠

  • 高さ88cm(銀製)
素材・造り

  • 脱活・乾漆像
国宝指定年月日

  • 1952年(昭和27年)3月29日
安置場所

  • 奈良 東大寺・「法華堂(三月堂)」

不空羂索観音の読み方

東大寺を含めた、おおよその日本全国の寺院には、読みにくい名前の仏像が多数、現存しております。

その中の1つであるのが「不空羂索観音」ですが、読み方を「ふくうけんさくかんのん/ふくうけんじゃくかんのん」と読みます。

ところで・・「脱活乾漆像」とは?

まず、「脱活乾漆像」の読み方は「だっかつ かんしつぞう」と読みます。

脱活乾漆像の意味とは、仏像の造立過程において、その根本となる作成方法のことです。

仏像の造立方法には「一木造り」や「寄木造り」があります。

脱活乾漆像は「脱活」と「乾漆像」という言葉に分けることができます。

「脱活」とは、早い話が「内側を空白にする」と言う意味です。

「乾漆像」とは、脱活による像の中心となる部分には「木の芯」を1本据え、これを土台として、その周囲を漆などの素材で固めて形造った像です。

これが乾くと「乾いた漆の像」となります。

細かな部分は、乾いた後で削ったり、さらに漆を塗り重ねたりしながら造形をしていきます。

【補足】その他の造立方法

一木造り

時代を経るごとに道具が進化していきます。その道具の進化に伴い、造立方法も変わってきます。

道具が進化した後の世では、上述したように土台から漆を塗り固める造立方法ではなく、道具を使用して1本の木を伐採し、その1本の木を彫って造像していきます。

これが「一木造り」です。

一木造りの難点(デメリット)は、修復が極めて難しいことです。

それと完成までに後述の寄木造りと比較して時間がかかります。

また1本の木を切り出すので、巨大な仏像を造像することは難しくなってきます。

寄木造り

平安時代に差し掛かると奈良仏師の始祖とも言われる「定朝(じょうちょう)」によって「寄木造り」が考案されます。

寄木造りは1本の木からではなく、同じ種類の複数の木から用材を切り出します。

1体の仏像を手、足、頭、胴体などとプラモデルのようにパーツ分けし、それぞれ分担作業でパーツを仕上げていきます。

すべてのパーツの彫り出しが完成したところで、組み上げを行い、仏像を完成させます。

現在に伝わっている造像方法としては「寄木造り」が通説で一般的です。

つまり、上述の乾漆像とは相当、古い時代の造像方法を示すもので、この名前が出てくるだけで、まず国宝級のお宝であると察することができます。

不空羂索観音とは?

不空羂索観音とは、「あらゆる生き物を救う」という言葉の意味を持つ観音様です。

「不空」は「空しからず」で、信仰すれば「残念な思いはさせない」という意味です。

「羂索(けんさく)」というのは狩猟に使う縄ですが、不空羂索観音はこの縄を使って、多くの人を救い、多くの人々の苦しみをぬぐい去ってくださるありがたい観音様です。

一説では、明治初頭以前の神仏習合の時代、東大寺のお隣の「奈良・春日大社」の御祭神「建御雷神(たけみかづち)」と習合し、建御雷神の権化した姿、つまり「本地仏(ほんちぶつ)」として崇敬が寄せられていたようです。

ちょっと不空羂索観音像が左手の下から2番目の手に注目してみてください。

鎖のような物を持っているのに気づきませんか?

実はこの鎖こそが羂索(けんさく)になります。

不空羂索観音は天平時代(奈良時代)から平安時代初頭にかけて数多く造立され、篤い信仰が寄せられました。

しかし後に藤原氏が「鎮護国家のご利益がある」と定めて、国家で崇拝する対象としたため、庶民層は崇拝の対象外とされました。

このため、以降は歴史から姿を消しています。


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東大寺・法華堂(三月堂)「不空羂索観音像の特徴と見どころ」

三目八臂

不空羂索観音像は、3つの目と8本の腕を持つ「三目八臂(さんもくはっぴ)」と呼ばれる姿の仏像です。

一面八臂の仏像というイメージが強いのですが、特に奈良時代を例として、不空羂索観音像を造像する際には三目八臂の姿で造像するのが主流でした。

無論のこと、この不空羂索観音は東大寺・法華堂(三月堂)の御本尊でもあります。

ちなみに現存する不空羂索観音像としては、最古のものだと云われております。

特に腰部分が太く造像されており、より大きくたくましくみえます。

このように腰を太くして造像されるのは天平期から平安初期に造像された仏像の特徴でもあります。

背中に見える大きな光背にも魅入ってしまいますが、この光背は実は造立当初よりも少し下にズレています。

ズレている理由は屋根にあたるためだと伝えられているようですが、依然、謎です。

光背を造立当初の位置に戻せば見事な見栄えになると云われています。

しかし、この威容感に満ちた存在感に圧倒されてしまいますが、穏やかで優しい表情もぜひご覧ください。

合掌する両手の間をよく見ると・・「宝石」が??

この不空羂索観音像を見た時、おそらく大抵の方が注目するのは頭上の宝冠ではないでしょうか?

それと巨大な光背にも目がいってしまいます。

そんなことから細部にまでは目線が行き届かず、見落としがちになってしまう箇所があります。

どの箇所か、お分かりになりますか?

ちょっと、不空羂索観音像の正面に立って「合掌(がっしょう/両手を合わせる)」した両手の手の平の間に注目してみてください。

透き通るような「透明の宝石(宝玉)」があるのが見えるハズです。

実はこの宝玉は「水晶」であり、後述する宝冠に使用されている水晶と同じ水晶になります。

ただし、この水晶珠自体が発光しているわけではないので、望遠鏡のようなもので見ないと分かりにくいのは確かです。

また、この宝珠が造立当初から存在したのかは不明であり、現在でも調査中のことですが、現在までの調査結果では、後世で付け加えられた可能性が高いとの見方がされています。

不空羂索観音立像の1番の見どころ「宝冠」!!

奈良 東大寺・法華堂(三月堂)「不空羂索観音立像・宝冠および化仏」【国宝】

画像引用先:https://ja.wikipedia.org

製作年:推定747年頃
大きさ:高さ88cm、化仏23.6cm
材質:銀製鍍金、翡翠、琥珀、水晶、真珠..etc
国宝登録指定年月日:1952年(昭和27年)3月29日

不空羂索観音立像・宝冠の歴史・由来

頭に乗っている宝冠は銀製で、高さ88cmもあります。

2万数千個のコハクやヒスイなどの宝石で飾られ、繊細な模様も彫られています。

世界三大宝冠の1つ」と説明されることもあるようです。

世界三大宝冠

 ツタンカーメン(エジプト)※もしくはクレオパトラ像の宝冠
 ルイ14世(フランス)の宝冠
 不空羂索観音立像(奈良・東大寺)の宝冠

放射状に光を放つように見える光背のデザインは非常に珍しいので、是非!宝冠に着目してみてください。

目玉となる宝石・「翡翠(ひすい)」は、新潟県・糸魚川(いといがわ)で採れたヒスイです。

この当時の日本では、糸魚川のヒスイは最高級品であり、かの三種の神器の1つである「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」も糸魚川産のヒスイであることが明らかにされています。

この他、宝冠には約23cmの化仏(けぶつ)が乗っています。

化仏とは小さな仏様であり仏様が変化した姿のことです。力やご利益は化仏になっても変わりません。

またこの当時では唯一の銀製の化仏だったようです。

そんなことから1937年(昭和12年)に、なんと!この「宝冠が盗難される事件」が起こってしまいます。

犯人は巧みに三月堂へ忍び込み、宝冠を盗み出しました。

盗んだ宝冠は押入れに隠していたそうですが、犯人の妻が急にお腹が痛くなり、押入れの前で倒れ込んでしまったそうです。

妻はバチが当たったと思い、慌てて東大寺へ返したそうです。盗まれてから6年後のことです。

しかし残念なことに宝冠に付いていた宝石などの飾りは、ほとんど取られていてブラックマーケットへ流れてしまったようです。

そんなこともあり、現在の宝冠の宝石の一部は、後々で同じ材料を用いて「東京国立博物館」にて復元されたものになります。

不空羂索観音立像のご利益

篤い崇敬を寄せることによって、不空羂索観音立像には以下のようなご利益があるとされています。

  • 「十種勝利」の倍のご利益
  • 「四種果報」の倍のご利益

十種勝利、四種果報とは十一面観音が持つとされるご利益です。

十一面観音の十種勝利のご利益

病魔退散
すべての如来に受け入れられる
招福将来
すべての敵から被害を受けない
宮殿に招待されて国の権力者が労への労いの言葉を述べてくれる
毒虫・毒類の被害に遭わない。
万が一、病気にかかってしまっても症状がひどくならない
あらゆる凶器による被害を受けない
溺れて死なない
焼死することはない
突然の事故に遭遇しない

十一面観音の四種功德のご利益

臨終の際、如来が訪れる
地獄に落ちて餓鬼に生まれ変わることはない
早死しない
極楽浄土に行ける

東大寺・法華堂(三月堂)の場所とアクセス(行き方)

東大寺法華堂の場所とアクセス(行き方)については当サイトの以下↓の別ページにてご紹介しております。

東大寺 三月堂(法華堂)の「見どころ・拝観料金(入場料金)・見学所要時間・営業時間・アクセス(行き方)」

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