奈良公園には約1300頭の鹿が生息していますが、ひとえに奈良公園といっても広大であり、さらに若草山や春日山などにも広く分布していることから、その生態は一般的には謎とされる。
以下では、奈良公園の鹿の生態や1日の行動と春夏秋冬の過ごし方について述べるとしよぅ。
奈良公園の鹿の1日
奈良公園の鹿さんは、従来の一般的にみる野生の鹿の生態とは少し異なります。
これは世の中が平和になったことと、奈良公園の鹿は人馴れし、保護されていますので、外敵という外敵がいないことが起因しているようです。
起床:「朝日が鹿たちの目覚まし時計」
みんなでモソモソ起床!
奈良公園の鹿の大半は春日大社の裏の林で寝ています。
時間はバラバラですが、おおむね早朝5時頃に目覚めて、まずは飛火野などに移動して主食とも言える芝生を食べます。つまり朝めしタイムなのだ。
午前9時頃になると観光客が徐々に増えてくるので、今度は鹿せんべいなどのオヤツをもらうために、観光客の多い東大寺南大門や春日大社参道、興福寺境内へ向けてみんなで大移動!出〜発っ!!
朝ごはん:「午前中」
朝8時を過ぎるとポツポツと観光客が増え始めるので、みんな奈良公園の至る所に散らばります。
1番人気は東大寺南大門から大仏殿交差点までの通り。
もちろん奈良公園内で芝をムシャムシャ食べる鹿もいます。ムシャムシャ….ムシャムシャ….。…………武者ぁぁあぁぁあ!!!!
観光客からのオヤツをムシャムシャ….ムシャムシャ….。………………..しぃゃぁぁあぁぁあ!!オっラァァァァっ!!
・・こホンっ!
お昼:「休憩」&「おやつハンティング」
一段落したら、いつもの休憩所である春日大社参道まで少しだけ戻ります。
林の中で、のんび~り♪お昼休憩しながら、鹿せんべい屋さん付近の観光客の様子をうかがって、おやつのチャンスを狙います。
お昼から夕方:「再びご飯」
おやつにもありつけたところで、また奈良公園にてご飯タイム。
数十キロの身体を草や木の実だけで保つのですから、基本的にはいつでもどこでもご飯です。
もうすぐ参拝客も帰ってしまう時間なので、「おやつ」のオネダリもラストスパート!!
帰還:「今日も1日よく食べました。お腹いっぱい!・・ある程度」
東大寺や春日大社の門が閉じる頃になると観光客も帰ってしまいます。そうなると鹿せんべいをくれる人がいなくなっちまいます。そんなことで今日はおひらき!
再び、みんなで寝床へ帰ります。
今日も1日よく食べました。おやすみなさい!
奈良公園の鹿の生態
奈良公園の鹿は基本的には雌雄別の10数頭から20頭ほどのグループを作って生活しています。
通常、数十頭くらいの小さな集団で行動することが多いのですが、奈良公園は鹿せんべいに代表される「おやつ」の環境が整っていたり、外敵が少ないので、大きな集団を形成することも可能になったようです。
まず・・鹿の主食は何?鹿は何を食べて過ごしているの??
奈良公園に鹿がいることはもはや日本人の常識レベルとして広く認知されており、現在では世界中にもその存在が知られるようになり、連日、多くの観光客が奈良公園に訪れています。
そんな観光客たちが鹿に「他の食べ物を与えないように」、もしくは「エサやり体験ができるように」とのことから、奈良市では「鹿せんべい」を公園内のアチラコチラで販売しています。
しかしながら鹿せんべいは、一括りにわずか10枚しかありません。そこでふと考えてしまうのが、「それで本当に腹パンになるの?」といった疑問です。
その上、平日と土日祝日とでは来訪する観光客の数も異なりますので、平日だと極端な話、休日の半分くらいの量しか食べれない日もあると思います。
しかしご安心を。
実は奈良公園の鹿は鹿せんべい以外にも、主食というものがあります。
奈良公園の鹿の主食一覧
- 芝生(しば)
- どんぐり
- 笹の葉
- 木の葉 …etc
奈良公園の鹿の行動範囲「どこまで行くの?」
奈良公園の鹿たちは1度グループを作ってしまえば、雄鹿(オス)以外は大抵そのグループで行動を共にします。
雌鹿(メス)はグループ行動が顕著であり、雌鹿から生まれた雌鹿の大半は生涯、母鹿のいるグループで行動するようです。
一方で雄鹿は広範囲に渡ってかなりの冒険をします。特に繁殖期に雄鹿同士の決闘で負けた雄鹿は群を離れて一人行動に出ます。
ときには奈良公園を出ることもシバシバあるようで、最長距離の例では「大阪のド真ん中となる中央区で見つかった」例もあったり、京都・木津川手前のJR加茂駅前で休息していた数十頭の鹿が保護されるケースもあったようです。
基本的に雄鹿と雌鹿が一緒のグループに属することはなく、雄鹿は雄鹿同士、雌鹿は雌鹿同士がグループを作って集団行動します。
- 鹿の行動が顕著な季節:秋・冬
- 秋冬における鹿の行動する距離:およそ5キロ〜数十キロ
奈良公園の鹿の赤ちゃん(子鹿)の生態について
鹿の赤ちゃんが生まれた時は人間の子供と同じくらいで3000gほどです。成長すると、雄は60kg〜100kg、雌は40kg〜60kgほどになります。
上述したように現在の奈良公園(奈良の鹿愛護会)では観光客、鹿双方の安全を考慮して、身ごもった母鹿を隔離するために鹿苑へ移し、そこで赤ちゃんを産むような仕組みがとられています。
ただし、捕獲できなかった雌鹿はそのまま放置されますので、ある程度大きくなるまで奈良公園で子鹿を見かける機会は少ないということになります。
毎年、春と夏に子鹿を公開するイベント行事である「子鹿公開」が春日大社参道の鹿苑にて開催されます。
鹿の1年(春夏秋冬)の過ごし方
春
食欲が増える時期
奈良公園の鹿は鹿せんべいなどのエサを貰えているので、腹が激減りするような印象はありませんが、あくまでも自然の生き物です。寒い冬は雪が積もったり、草木は葉を落とし成長を止めてしまいます。
そんなことから冬の鹿たちは常に腹減りンコ状態です。
その腹減りンコ状態から解放されるのが春です。春になれば草木が芽を出し葉を付けますので、鹿たちの食べ物ができます。
それとあまり知られていませんが、鹿は桜の花ビラも喜んで食べます。春は誰がなんといっても桜の開花シーズン。一斉に大量の花ビラを実らせたかと思うと、わずか1週間ほどでその大量の花ビラを一斉に落とします。
鹿たちが1年のうちでもっとも春が食欲旺盛な時期と言われるのは、その桜の花ビラも食べてしまうためです。
雄鹿は角が落ちる季節
春は鹿の角が落ちる季節です。角が生えるのは雄鹿だけですあ、4月中旬にもなればほとんどの雄鹿の角が落ちて、そのあとにカサブタができます。このカサブタのあとからは再び「袋角(ふくろづの)」と呼ばれる皮膜がある角がニョキッと伸びてきます。
鹿に関しての行事としては例年、お水取りを迎える頃、鹿寄せが行われます。
行動範囲や行動距離
春はエサとなる芝生などの草が多いので行動範囲が狭く、平均すると〜5キロぐらいです。
夏
雄鹿の角が本格化
この頃になれば雄鹿の角の成長もピークを迎え、皮膜が取れていよいよ本格的な角が現れます。この角は正真正銘、純粋な角になりますので感覚や血管もなく、傷つけられても痛くありません。
6月頃には鹿寄せが行われます。
夏毛に生え変わる
夏の外気温の上昇とともに鹿たちの毛も「夏毛」へと生え変わります。鹿の夏毛は鹿のシンボルとも言える「白斑(はくはん)模様」、一般的には「子鹿模様」と呼ばれる白い斑点模様の毛です。
鹿は体調管理が苦手
鹿は体調管理機能が低い動物として知られており、夏場は道路脇の木陰になっているアスファルトの上で休憩したり、ドボンっ!と、池に飛び込んだりする行動が顕著です。
中でも奈良の鹿特有の行動となるのが、夕方17時頃になると奈良国立博物館の前にゾロゾロと鹿たちが集結し、100頭くらいのグループを作って休憩するといった摩訶不思議な行動です。
地元奈良ではこの不思議な行動を「鹿だまり」と呼んでいますが、なぜグループを作るのかについての理由は謎とされています。
一説では、奈良国立博物館の地階に設置された空調機(冷房)の通風口がちょうど博物館前にあって、そこから大量の強風が送られてくるので涼んでいるとも考えられています。
行動範囲や行動距離
夏もエサとなる芝生などの草が多いので行動範囲が狭く、平均すると〜5キロぐらいです。
秋
発情期
秋口になると鹿たちには子供を産むシーズンが到来します。そう恋♥の季節です。この時期の鹿は発情期を迎え、敏感になっていますのでご注意ください。特に鹿せんべいをあげる時にジラすような行動をとれば、噛み付かれたり、ツノで頭突きをくらうことになります。
中でも特に危険な鹿が甲高い声で鳴いている雄鹿と、お腹が大きくなった雌鹿です。
甲高い声を雄叫びのようにあげている雄鹿は発情していますので、近づくだけで危険です。またこの時期特有の特徴として発情した雄鹿に見られるのが”お化粧”です。身体に泥が付着している雄鹿には十分に注意してください。
一方、お腹が大きくなった雌鹿も危険です。お腹の子供を守ろうとする意志が芽生えるために警戒心が増します。雄鹿同様、充分な注意と鹿への配慮が必要です。
怒号のような雄鹿の声が奈良公園中にコダマする
秋の奈良公園で見られる珍しい光景として、発情期を迎えた雄鹿が雄叫びのような怒号のような鳴き声をあげている姿が見られます。
これは自分の存在を他の雄鹿や雌鹿に知らせるための行動でもあります。
奇行が増える
発情期いわゆる繁殖期を迎えた雄鹿は、他にも自分の身体に泥を付けたり、木の枝に角をコスり付けたりするような奇行とも呼べる行動が見られます。
泥を身体に付けるのは雌鹿へのアピールのための化粧とも言われています。
木の枝に角をコスり付けるのは角を尖らせて他の雄鹿との決闘を有利にするための行動です。
行動範囲や行動距離
秋になればエサが減ってくることから行動範囲が増えます。1日に5キロ〜数十キロにも及びます。
冬
子鹿育成の時期(雌鹿)
雌鹿は生まれた子供を育てる時期です。
この頃、子鹿を見かけてもなるべくそっとしておく方が無難です。なにせ、この頃の雌鹿は特に自分の子供(子鹿)には注意をはらっており、1年のうちでもっとも警戒心が強くなっています。
うかつに子鹿に触ろうとすると雌鹿に噛み付かれたり、体当たりされるなどのトラブルにもなり兼ねませんので要注意です。
この頃の雄鹿は発情期もひと段落し、気性的にも穏やかです。雄鹿であれば触れ合うチャンス!といえます。
行動範囲や行動距離
冬は草や木の実などの主食となるエサがないので秋以上に行動範囲が増えます。1日に5キロ〜数十キロにも及びます。
鹿もオシャレする?!
実は、鹿も、四季によって服装を変えています。
えっ?服なんて着てない??
それは違います。チャント、服を着てます。「毛皮」という分厚い服を。
実は、驚くことになんと!鹿は四季によって、毛色が変色します。
代表的なものが「夏毛」や「冬毛」です。
夏の鹿毛「鹿の子模様」
秋の鹿毛「生え変わり」
冬の鹿毛「鏡毛(尾毛)」
ちなみに、一般的にイラストなどで、可愛い鹿を描く時にイメージされる「鹿の子模様」がくっきり出るのは「夏毛」です。
「鏡毛(尾毛)」と呼ばれる毛は、夏毛や冬毛に関係なく生え変わることはありません。
これは、外敵が近づけば、目立つ真っ白な「おケツの毛(ケツ毛)」を仲間に見せることで、仲間全体に危険を知らせるためです。
しかし、奈良公園ではこの毛を見せることは、あまりなさそうデスね。
なお、それぞれの季節において鹿の毛の生え変わりが完全に完了する期間はおおむね1週間から2週間程度を要します。
奈良鹿の食べ物
奈良の鹿は、主食は以下のような物を主に食べています。
- 奈良公園の芝
- 奈良公園の草(ワラビなど)
- 奈良公園の樹木の葉(アセビなど)
- 奈良公園の木の実
- 奈良公園の木の皮
これらを1日約5kg食べます。
しかし、主にこれらの芝や木の実を食べていますが、鹿によっては、好き嫌いがあるようで、何でも食べるわけではありません。
ちなみに奈良公園の樹木は、鹿の生態も考えて植林されています。つまり、通常よりも低い位置に木の高さが保たれています。
これは鹿が木の葉などを食べやすくしているためです。
それと鹿たちの大好物は「ドングリ」です。ドングリは鹿寄せで鹿たちを寄せ集めるために用いられるホルンと共に欠かせないアイテムです。
鹿にとって「鹿せんべい」は単なる「おやつ」!?
上記でご説明した通り、鹿は1日5キロもの草や木の実を食べます。
したがって、鹿さんにとって、「鹿せんべい1包=10枚」は、単なる「おやつ」です。
どうりで、鹿さんに「鹿せんべい」を、あげても、あげても、キリがないほど、オネダリしてくるワケです。
えぇっ!!鹿さんには「4つも胃袋があった」!!!
実は「鹿」には、4つも胃袋があることが、これまで研究で判かっています。
引用先:奈良の鹿愛護会
これは、何も鹿だけではなく、「牛」も4つに別れた胃袋を持っているそうです。
そして、「反芻(=はんすう。 一度、噛んで飲み込んだ物を再び口に戻して、また噛みなおして再び飲み込む動作)」しながら消化していきます。
奈良公園の鹿さんの寿命って何歳??
これは、奈良公園に鹿に関わらず、鹿全般に対していえることですが、鹿の平均寿命は以下の通りになります。
- 雄が約15才
- 雌が約20才
角は毎年生えかわり、角の形(角の又の数を数えます)によっておよその年令がわかるそう。
引用先:奈良の鹿愛護会
生まれる段階では雌雄ほぼ同数です。
しかし、雄は発情期に餌を食べないことや、他の雄と戦ってしまうことで、数が減ってしまうのだそうです。
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